気象・地震

アメリカで竜巻はなぜ多いのか?しかも12月に何でこんなことに

2021年12月10日夜から11日に、アメリカで巨大な竜巻が発生し多くの死傷者を含め多くの被害を出しました。

日本では、数少なく、被害もこれほどではないのに、アメリカで竜巻はなぜ多いのでしょうか?しかも例年最も少ないとされる12月に何で今回こんなことになったか見てゆきましょう。

これまで多くの被害をもたらしたアメリカの17の竜巻について、発生地域、季節、被害者数を一覧にしました。

また、今回の竜巻の動画を集めました。

恐ろしいことや!

アメリカで竜巻はなぜ多いのか?

アメリカで竜巻はなぜ多いのか?を考えてみましょう。

竜巻の発生のしくみは、空気が暖められたことによってできた水蒸気が雲になって生まれます。
雲の底の方から漏斗雲と呼ばれるラッパ状の雲が、地上に降りてくる形になります。そして空気を次々と吸い上げて渦巻きを作ります。この渦巻きが集まることで、回転するスピードが加速して、地上にあるものを何もかも吸い上げてしまう竜巻を作りだすのです。

2021年12月に最悪の被害

2021年12月10日夜から11日にかけてアメリカ南部や中西部で相次いで発生した竜巻により、ケンタッキー州イリノイ州テネシー州アーカンソー州ミズーリ州の5つの州で、合わせて88人の死亡が確認されています。

南部ケンタッキー州のメイフィールドではろうそく工場が倒壊し当時、中にいた従業員などおよそ110人のうち多くの人ががれきの下に閉じ込められました。依然として連絡が取れていない人もおり、今後被害規模がさらに拡大する可能性もあります。また、27両編成の電車が脱線、タンク型の荷台を取り付けた貨車も75メートル飛ばされたなども報告されています
中西部のイリノイ州では、アマゾンの倉庫の屋根が崩れ落ちたり壁が100メートルほどにわたってなくなったりする大きな被害を受けました。

本来1年のうち最も少ない12月に強力な竜巻が起こった原因として、この時期として異常に高い気温に加え、上空に流れ込んだ強い寒気の影響で大気の状態が急速に不安定になり、巨大な積乱雲であるスーパーセルができたことで竜巻の破壊力が大きく継続時間も長くなり、甚大な被害につながったのではといわれています。
南部のミシシッピ州ジャクソンでは10日の最高気温は27.3度、テネシー州のメンフィス国際空港では26.7度でした。

他国と比較したアメリカの多さ

アメリカでは、年間1000個前後の竜巻が発生し、竜巻の発生数に対する勢力の強い竜巻の割合が非常に多いためもあり、50人程度が亡くなっています。世界の竜巻の8割がアメリカで発生しているとされ、その中でも特に竜巻被害の多い同国中部は竜巻街道と呼ばれています。

アメリカで最も被害を受けている地域「竜巻街道」は、オクラホマやカンザス、ネブラスカ、ノースダコタ、サウスダコタからテキサス州の一部にまたがっています。メキシコ湾の湿った空気が南西から吹く乾いた空気とぶつかるため、強力な竜巻が発生しやすいのです。

大きな被害をもたらしてアメリカの竜巻を一覧します。

月日州・地域死者
1840年5月4日ミシシッピ州ナチェズで竜巻。船の転覆により被害が拡大(Great Natchez Tornado)317人
1884年2月19日 - 20日南部から中西部にかけての広範囲で多数の竜巻が発生(Enigma tornado outbreak)178人以上
1896年5月27日 - 28日ミズーリ州とイリノイ州で複数の竜巻(St. Louis-East St. Louis Tornado)284人以上
1908年4月24日ミシシッピ州とルイジアナ州で竜巻(Amite-Pine-Purvis Tornadoes)143人以上
1920年3月28日南部から中西部にかけての広範囲で多数の竜巻(Palm Sunday tornado outbreak of 1920)380人
1925年3月18日南部から中西部にかけての広範囲で複数の竜巻。ミズーリ・イリノイ・インディアナ各州を通過したF5の竜巻による被害が大きかった(Tri-State Tornado)747人
1936年4月5日 - 6日南部で複数の竜巻が発生。ミシシッピ州トゥペロではF5の竜巻が発生するなどした(Tupelo-Gainesville Outbreak)436人以上
1953年6月8日 - 9日中西部で複数の竜巻が発生。ミシガン州ではF5の竜巻が発生した(Flint-Worcester Tornadoes)247人
1965年4月11日 - 12日中西部で多数の竜巻が発生。F4の竜巻が17個も発生した(Palm Sunday tornado outbreak of 1965)271人
1974年4月3日東部の広範囲で148個の竜巻(オンタリオ州でも1個発生)。F5が7個、F4が23個、F3とF2が34個ずつという記録的な強さ(Super Outbreak)319人以上
1980年6月3日ネブラスカ州グランド・アイランドで竜巻(Grand Island, Nebraska Tornado Outbreak)48人
1999年5月3日 - 6日オクラホマ・カンザス・テキサス・テネシーの各州で複数の竜巻。オクラホマ州ムーアではF5の竜巻により被害額10億ドルを超える甚大な被害(1999 Oklahoma tornado outbreak)48人
2008年2月5日 - 6日アーカンソー・テネシー・ケンタッキー・ミシシッピの各州で複数の竜巻(2008 Super Tuesday tornado outbreak)58人
2011年4月14日 - 16日観測史上もっとも多い241の竜巻が14州で発生(April 14–16, 2011 tornado outbreak)45人
4月25日 - 28日アラバマ州を中心に米国の南部および東部の各州で425以上の竜巻が発生(April 25–28, 2011 tornado outbreak)354人
2013年5月19日 - 20日オクラホマ・カンザス・イリノイ・アイオワの各州で複数の竜巻。オクラホマ州ムーアでは竜巻が小学校を直撃するなどの被害が発生(2013年ムーア竜巻)24人以上
2021年12月10 日- 12日アーカンソー・イリノイ・ケンタッキー・ミズーリ・テネシー各州で複数の竜巻が発生。竜巻が工場を直撃するなどの被害が発生90人以上?

竜巻の強さを評定する尺度は、1971年にシカゴ大学の藤田哲也博士により、生み出された藤田スケール(Fスケール)が一般的に用いられ、弱い~強い順に、F0からF6と決められており、F5となれば大きな被害をもたらします。

たしか、「オズの魔法使い」はカンザス州で竜巻に巻き込まれる話だったよね

アメリカで竜巻が多い理由

竜巻の頻発地域である米国中西部(オクラホマ州付近など)は、北極からの寒気団とカリブ海からの暖気団が衝突する地域となっており、 両気団の衝突で大気が不安定になった時に竜巻が発生しやすくなります。
さらに、米国中西部の上空には、ロッキー山脈を越えて乾燥した偏西風があり、上空に行くに従い、風向が時計回りに変化することが多くなります。風向が、高度と共に、顕著な時計回りの回転をする時には、 「スーパーセル」と呼ばれる回転する巨大積乱雲が発生しやすくなることが知られています。
これらの気象条件が揃うことにより、米国中西部では、強力な竜巻が多数発生する傾向があるとされています。
さらに、米国中西部は周囲に山が少なく、平地が広大のため、竜巻が発生するときに、周辺から風が集まってきやすく強大な竜巻になりやすいとも言えます。

12月は本来竜巻は少ない月

これまで、米国では竜巻は5月と6月に最も多く発生し、12月から2月の発生は少ない季節的な特徴があります。
本来12月というのは、一年でもっとも竜巻の発生数が少ない月です。
大きな被害をもたらした 先のテーブルで見ても、17の竜巻のうち、4月6回、5月4回、6月2回と多く、12月は今回が初めてでした。

この時期、竜巻が多い理由となる気象条件がそろいやすいからという理由ですが、今回12月にも関わらず、地上で異常な高い気温を記録したことが大きな要因ではと推測されます。

地球温暖化と関係ないの?

竜巻の動画まとめ

いや見ていられない!

まとめ

わかりやすくまとめると

  • アメリカの中西部は、北極からの寒気団とカリブ海からの暖気団が衝突する地域となっており、 両気団の衝突で大気が不安定になりやすく、さらに、上空には、ロッキー山脈を越えて乾燥した偏西風があり、巨大積乱雲「スーパーセル」が発生しやすくなるため
  • 本来最も発生が少ないはずの12月に発生したのは、この地域でのこの時期にしては、異常な高い気温が関連していると推測される
  • 現地竜巻の動画をまとめました

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