北京オリンピックスキージャンプ混合団体の1回目、高梨沙羅選手は、100メートルを超える大ジャンプをしたものの、その後、ジャンプスーツの規定違反で失格となりました。
ジャンプ競技のスーツ規定違反をわかりやすく解説します。高梨沙羅失格におかしい、不可解ルールだと炎上しています。世界の反応はどうなのでしょう?

スーツ規定違反とは?わかりやすく解説
ジャンプでのスーツ規定違反をわかりやすく解説してゆきましょう。
国際スキー連盟(FIS)の規則によれば、「直立姿勢で、スーツ寸法はボディーと一致しなければならず、最大許容差はスーツのあらゆる部分において、ボディーに対し女子の場合はプラス2センチ~4センチとする」となっています。
その目的は、選手が股下や両脇部分を水かきのようにして表面積を極力広げて浮力を得ようとする動きなどに対処するためで、選手間の公平性と、「飛び過ぎ」を防いで安全性を保つ目的があります。
スタート付近で全員がスーツの検査を受け、両足を40センチ開いた状態で立ち、股下や腰回りのゆとりなどをチェックします。この時点で失格となるケースもあります。
通常の競技では、飛び終えた後に、ランダムに同じ検査を受けます。
ジャンプ競技で、スーツの規定違反自体はそれほど珍しいことではなく、高梨沙羅は2021年2月のワールドカップで、今回個人で金メダルを獲得した小林陵侑も今季W杯第2戦の予選で失格しています。
十分頭には入っていたはずです。
Eine unglaubliche Achterbahnfahrt der Gefühle für die japanische Skispringerin. #BeijingWinterOlympics #Beijing2022 #Pyeongchang #Olympics #HomeoftheOlympics #Wintersport #HomeofWintersport https://t.co/OkoDJuKzeF
— Eurosport DE (@Eurosport_DE) February 7, 2022
高梨沙羅失格に不可解ルールではと疑問が噴出
高梨沙羅選手のスーツの規定違反について
ジャンプ後にランダムに行われる検査で、両太もも部分が規定よりも2センチ大きかったことが判明しました。1回目で着ていたスーツは、ノーマルヒルの試合で着ていたのと同じスーツということです(ジャンプ女子日本代表の鷲澤徹コーチ)。
スーツの規定は、体に対しての大きさで決まるため、本人の体格に変動があった場合は、規定違反となる可能性が出てきます。
今回の決勝でスーツの規定違反で失格になったのは1回目では日本の1人目の高梨選手のほか、オーストリアの1人目のダニエラ イラシュコ・シュトルツ選手、ドイツの3人目で女子ノーマルヒルで銀メダルを獲得したカタリナ・アルトハウス選手、2回目ではノルウェーの1人目のアンナ オディーネ・ストロン選手と、3人目のシリエ・オップセット選手と実に、5選手に及びました。
その原因として考えられるのは、
・競技会場が、非常に乾燥しているので体内の水分が抜けて、太ももなど足の大きさが変わった可能性
試合が行われたジャンプ台は、標高1650メートルの地点にあり、1回目のジャンプが行われた午後8時ごろの気温はマイナス10度ほどで、湿度は38パーセントでした。ジャンプ台付近は、厳しい寒さの上、空気は乾燥していました。
「標高とともに気温も低く、体重の維持が難しい。水を飲んだりして体重を維持できるよう対処している」とのことでした。
・混合決勝では、選手全体の人数が少ないので、ジャンプ後の検査がランダムではなく、ほとんどすべての選手に行われた
このルールに対し、不可解と以下のような疑問が出ています
・同じスーツを着用していても、気候条件により、体の大きさが変化し、意図していないのに、規定違反となる
・ジャンプ前に規定内なのに、ジャンプ後に規定外となるのは、測定方法に問題があるのでは
・測定精度の限界に近い厳格な規定自体が問題では
・高梨沙羅のように、世界中で競技を行ってきた上位選手がこれほどの割合で、規定違反となるのは、会場の環境条件、測定方法などこれまでにない問題があったのではないか?

高梨沙羅失格に世界の反応は?
(EUROSPORT参照)
北京2022年のスキージャンプ混合チーム決勝戦は、失格者の続出で一部の国が激怒し、茶番劇と化した。
スロベニアはロシアオリンピック委員会とカナダを抑えて金メダルを獲得したが、最大の話題となったのは審判の行為であった。
日本、オーストリア、ノルウェーは、決勝でジャンプ選手がスーツ違反で失格となり、ドイツは、混合チームで世界タイトルを4つ獲得していたが、個人銀メダルのカタリーナ・アルタウスが失格となり、予選から進むことさえできなかったのだ。
ドイツチームはその後、ジャンプ選手が全員、以前出場した際のスーツを着用していたことを確認した。
日本の高梨沙羅選手、オーストリアのダニエラ・イラスコ・シュトルツ選手、ノルウェーのアンナ・オディーン選手は決勝でジャンプが失格になり、3カ国とも表彰台を逃した。高梨は2回目のジャンプで泣き崩れ、すぐにアリーナを去るという痛ましいフィナーレとなった。高梨はワールドカップで61勝を挙げているが、北京大会の個人戦では4位に終わり、3度目の五輪を金メダルなしで去ることになった。
ドイツのシュテファン・ホルンガッハー・コーチは、怒りを爆発させた一人だ。
「まったくクレイジーだ。3人の女子が失格になった。3人のプロ選手は、いつもワールドカップで優勝している。何の説明もなかった」と語った。
「彼女(カタリーナ・アルタウス)は個人戦と同じスーツで跳んだのに、何の説明もない、どうしてこんなことに?」オリンピックで混合チーム競技が行われたのは今回が初めてで、女子ジャンパーはノーマルヒルの1回だけなので、メダルのチャンスがもう一つ増えた。
ノルウェーのクラス・ブレデ・ブラーテン監督も「本当に言葉を失っている。これは選手にとって非常に厳しいことだ。」
「新しい種目を導入し、オリンピックで女子にもう1つ種目を与えるはずだったのに、このような事態になってしまった。そして、なぜ女子だけが失格になったのでしょうか?これは残念ながら我々のスポーツにとって悲しい日です。」

彼女は彼女の個人ノーマルヒルのパフォーマンスまたは今夜の失格に対してネガティブには思いません。彼女は今夜FISに失望したんです。

高梨沙羅グレートジャンプの失格後、日本は表彰台に近づくために懸命に戦った


まとめ
わかりやすくまとめると
- スーツ規定違反とは女子選手の場合、スーツのあらゆる部分で、ボディーに対しプラス2センチ~4センチ以内を外れること
- スーツ規定違反に対する4つの疑問がある
- 高梨沙羅の失格に同情し、よくやったと励ます海外の声が圧倒的に多い

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