原油や小麦など値上げが相次ぎ、インフレが進行しそうですが、デフレーション下での日本で、これまでも価格を上げずに、実質値上げ、隠れ値上げ、ステルス値上げとも呼ばれるシュリンクフレーションが見られました。
シュリンクフレーションの定義をはっきりさせるとともに、国内外の具体例を一覧してその様々な方法を見てゆきたいと思います。

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シュリンクフレーションの定義
まず、シュリンクフレーションの定義を確認しておきましょう。
シュリンクフレーションshrinkflationとは、shrink(縮小)とinflation(インフレ)の合成語で、インフレの形態の一つです。
小売りされる商品の価格は変わらず、パッケージはそのままで、その内容量や数量が明らかに減少、シュリンク(収縮)しているケースが例として挙げられます。
これにより、販売量を維持しながらコストを削減することによって、企業が営業利益率と収益性を高めることを可能にし、多くの場合、企業がインフレに合わせて価格を上げる代わりに使用されます。
有名なのは、2016年に起こったマッターホルンをかたどった三角形が特徴のスイスのチョコ菓子「トブラローネ」のシュリンク事件です。
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製造販売元のモンデリーズ社が、原材料費高騰のため英国で販売される「トブラローネ」をシュリンクさせ、山と山の間隔を広げて内容量を減らしたのです。
具体的には、トブラローネの重量を170グラムから150グラムに減量した結果、三角形のギザギザの歯の間隔が広がったのです。
英国のチョコレートファンは、山と山の間隔が広くなったことにショックを受け、SNS上では、新型のトブラローネに対する不満が続出し、「最もばかな決定」、「独特の形で知られるチョコなのに、お金を節約するために形を変えるなんて。恥を知れ」と非難しました。
シュリンクフレーションの具体例一覧
日本におけるシュリンクフレーションの具体例を近年にしぼって見てゆきましょう(http://www.neage.jp参照)。
食品
伊藤ハム ポールウインナー
2006年7月~ 31g×10本 550円
⇒2013年7月~ 29g×10本 550円
亀田の柿の種 スーパーフレッシュ6袋詰
2016年~ 200g 280円
⇒2021年6月~ 190g 280円
カルビー ポテトチップス
2019年6月~ 85g 148円
⇒2022年2月~ 80g 148円
赤城乳業株式会社ガリガリ君 ソーダ
2016年4月~ 110ml 70円
⇒2020年~ 105ml 70円
チョコレート
ネスレ キットカット
2014年3月~ 11.6g×3枚(34.8g)100円
⇒2020年9月~ 9.9g×3枚(29.7g) 100円
従来品と比べ砂糖の使用量を15%減らし、1枚当たりのサイズを食べやすい一口サイズに変更したとの説明。
不二家LOOK(ルック) ア・ラ・モード
2015年9月~ 47g 110円
⇒2019年頃~ 46g 110円
明治きのこの山
2008年~ 82g 200円(税別)
⇒2015年~ 74g 200円(税別)
日用品
花王アタック バイオEX
2013年4月~ 1kg 900g 20g
⇒2019年3月~ 900g 810g 18g
少量でも十分な洗浄力が期待できるとのうたい文句ですが・・・
ライオン トップ
2014年2月~ 900g 最小使用量(水30L) 25g
⇒2019年4月~ 900g 最小使用量(水30L) 30g
使用できる回数が36回から30回に。20%値上げに相当。
花王 アジエンス
2003年10月~ 550ml オープン価格
⇒2009年3月~ 530ml オープン価格
⇒2013年2月~ 500ml オープン価格
⇒2014年4月~ 480ml オープン価格
⇒2016年9月~ 450ml オープン価格
商品のリニューアル毎
以上に挙げた企業のように、シュリンクフレーションをしばしば行う企業、シュリンクフレーションを1度やったが、これ以上商品の中身を減らすのが限界となり、以降は、値上げに転じる企業に分かれます。
これは、商品の性質や企業戦略の違いによると思われます。
ロッテ 雪見だいふく
2000年頃 50ml×2個 100円
2007年9月~ 47ml×2個 100円
2008年~ 47ml×2個 120円
2015年3月~ 47ml×2個 130円
2019年3月~ 47ml×2個 140円
爽<バニラ>、モナ王も同様に、2007年以降は、シュリンクフレーションでなく、値上げに踏み切っています。
ハーゲンダッツ ミニカップ
2000年2月時点 120ml 250円
2008年6月~ 120ml 270円
2014年4月~ 120ml 263円
2014年7月~ 110ml 263円
2015年3月~ 110ml 272円
2019年6月~ 110ml 295円
性能向上やリニューアルをうたい文句にされると納得させられてしまう

シュリンクフレーション海外はどうなの?
2016年のモンデリーズ社「トブラローネ」のシュリンク事件以降を見ておきましょう(Wikipedia。参照)。
2017年 スイスのモンデリーズ社 「ミルカ アルパインミルク」と「ミルカ ナッツ&レーズン」を300gから270gに、「トリオレード」を300gから280gに、いずれも袋のサイズを変えずにシュリンクした。
2017年、イギリスのUnited Biscuits社のMcVitiesは標準的なパケットに入っているJaffa Cakesの数を12個から10個に減らし、ケーキ1個あたりのコストを9.58pから9.9pに引き上げました。
2018年、Koopmansはそば粉のパッケージの重量を500gから400gへと20%減らした。パッケージには「リニューアル」と書かれているが、「リニューアル」が製品の量を減らすことを意味するとは明記されていない。小売価格がまったく変わらなかったことは確かです。
2020年 ユニリーバは欧州でBEN&JERRY'Sのアイスクリームチューブのサイズを500mlから465mlに縮小しましたが、希望小売価格は約5ユーロのままでした。
2021年、Sainsbury'sは、80gのスパイシータイクラッカーを40gに変更しましたが、価格は半分以下とならなかったので、重量比で15%以上の値上げとなりました。
2021年、ゼネラル・ミルズはファミリーサイズのシリアルのひと箱を19.3オンスから18.1オンスに減らしました。これは、製品1オンスあたりの単価が6.6%上昇したことを意味しますが、消費者にとっては、米国の平均価格は2.99ドルのままで、箱の中のシリアルの量はまるでほとんど変わらないように見えます。
海外でもあの手この手で、シュリンクフレーションが行われているようです。
シュリンクフレーションへの反応



ダイレクトに景気が悪くなってる感味わいたいから内容量減らさず値段上げて。。買えないけど問題の明示化大事。。


まとめ
わかりやすくまとめると
- シュリンクフレーションとは、商品の価格を変えず、内容量や数量を減少させることを意味し、企業がインフレに合わせて価格を上げる代わりに使用される方策
- 国内10と海外7の具体的事例を挙げ、シュリンクフレーションが、世界中で行われていることがわかった
- シュリンクフレーション方策を取るかどうかは、商品の性質や企業戦略の違いによる