ロシアのウクライナ侵攻に対し、欧米諸国中心に次々とロシアに対する強力な経済制裁を打ち出した結果、ロシア国債の格付けが大幅に引き下げられ、デフォルトが近いと見られています。
ロシアがデフォルトしても、日本への影響はたいしたことはないと言えるのでしょうか?

ロシアデフォルト日本への影響は?
ロシアのデフォルトによる日本への影響はどうなんでしょう?
欧米諸国を中心としたSWIFTからの排除や、中央銀行の取引停止など、ロシアへの金融制裁の強化で、ルーブルが暴落し、ロシアのデフォルト(国として借りていたお金を返せなくなる)が現実のもとなりつつあります。
日本への影響はどの程度なのか詳しく見てゆきましょう。
過去のデフォルトを振り返る
ロシアは1998年8月にデフォルトを経験しています。
1997年のアジア通貨危機により、投資家がリスクを回避する傾向が強まり、ロシアを含む新興国の資産は敬遠されました。さらに、世界経済にブレーキがかかり、原油をはじめ資源価格が下落し、原油を主な輸出産品とするロシアの貿易収支/経常収支が悪化しました。
ロシアのデフォルトは、ルーブルの急落を引き起こし、ロシアに対して債権を保有する欧米金融機関や投資家は損失を被りました。例えば、米国のヘッジファンドLTCMは破綻しました。
日本では当時大規模な円キャリートレードが行われていた反動で、急激な円高となりました。
過去と現在の違い
今回は、原油価格が高騰している時点でのデフォルトです。
クリミア危機の経験からロシア、西欧諸国とも輸出入などお互いへの依存を小さくしてきたため、影響はその当時ほど大きくはありません。
また、日本では、現在大規模な円キャリートレードは行われていないと思われるので、急激な円高にはならないと予想されています。
識者の予想
2020年のロシアの経済規模は韓国に次ぐ世界11位で、GDP1位米国の10分の1以下であり、デフォルトしても、マクロ的には、世界経済への影響は小さい。
但し、ロシアのデフォルト、ルーブルの暴落により、輸入価格の高騰、国内物価の暴騰がおこり、ロシア国民の生活が苦しくなり、ロシア経済は2桁の縮小に見舞われる
日本との関係では、日本のロシアとの輸出入額ともに全体の1%程度と大きくないものの、原油3.6%、石炭 14.7%、天然ガス8.4%を依存しており、ロシアがデフォルトとなると、支払いができなくなったり、滞ったりするおそれがある。
その他、小麦などの穀物類や、非鉄金属の輸入も2923億円(19%)と多く、アルミニウムのほか、パラジウム、ニッケルといったレアメタルが含まれます。
これらにより、さらなる原油などエネルギー資源の価格高騰や小麦などの高騰で、インフレが生じる可能性があります。
また、ロシアに進出している日本企業276社には大きな影響が出ます。
トヨタをはじめとする現地生産自動車メーカーなどは、部品の供給が細り、送金や決済が難しくなります。ルーブルの暴落で市況が悪化、ロシア事業が成り立たなくなる可能性も高くなります。
米エクソンモービルや英シェルが撤退を発表した石油開発事業サハリン1・2についても、出資した日本商社勢が今後どうすべきか決断を迫られています(以上、マネースクエア チーフエコノミスト 西田明弘氏の記事を中心に参照しました)。
What was once a minor detail of Russia’s international debt terms is now fueling concern about whether insurance would pay out if the nation defaults https://t.co/0WjfiH0fn4
— Bloomberg Markets (@markets) March 4, 2022

ロシアデフォルトで世界の反応は?

ロシアとその銀行が債務不履行に陥った場合、イタリアとフランスでの連鎖的な銀行破綻を予想してください。
これはまずいことです。




うまいアイデアだ!!
まとめ
わかりやすくまとめると
- ロシアデフォルトの影響は、ロシアの経済規模から、世界的に見れば大きくはない
- 日本では、以前のような円高などの影響はなさそうだが、現地進出した自動車産業や石油開発事業サハリン1・2などに少なくない影響がある
- 制裁が長引いて、世界経済への影響が大きくなることを懸念する声が大きい

関連