6月19日に最大震度6弱、6月20日に最大震度5強の強い地震が石川県に発生し、これで5月22日から1か月で震度1以上の地震を32回観測しています(気象庁)。
最近石川県で地震多いのはなぜなのか?能登半島地震の過去から探ってゆきましょう。

石川県が地震多い2022年
2022年石川県、特に能登半島先端での地震多いと感じられます。
金沢地方気象台の2022年3月4日の発表によりますと、石川県能登地方の珠洲市付近で、2月に震度 1 以上を観測した地震は6回で、このうち珠洲市で震度3を1回(7日 17 時 59 分の M4.1)観測しています。
1997 年 10 月以降の活動を見ると、珠洲市付近では 2018 年頃からまとまった地震活動が見られており、2021 年5月以降は地震回数がさらに増加していました。
さらに、その後を気象庁のデータでまとめますと、3月1日以降6月19日の震度6の地震が来るまでに、震度4が2回、震度3が6回、震度2が15回、震度1が33回と、震度1以上の地震を月平均10回以上記録しており、頻度が高まっていました。
なぜ多いのか?
能登半島の先端にある珠洲市では2020年12月ごろから隆起が続き、これまでに3センチほども隆起した地点もありました。震源周辺の地下10~15キロの地殻が膨らんでいるといわれています。
この地殻変動のメカニズム(国土地理院の想定)として、3つが挙げられています。
① 地下に大量の流体(水など)がたまり地盤を押し上げた
② 通常の地震とは異なる仕組みで断層がずれ動く現象「ゆっくりすべり」が起きた
③ 断層の隙間に入り込んだ流体が断層を押し広げた
金沢大学 平松良浩教授によれば、
珠洲市の地下にある「流体」が原因とする。
断層面に「流体」が入って断層が動きやすくなる。その結果、地震が群発的に発生していると考えられる。珠洲市の地下深くに約2000万年前の火山活動による巨大なくぼ地=カルデラがあることも確認されている。そのため、このマグマの通り道を利用して流体が上がってきたのではないかとの推測もできるという。
つまり、地殻変動のメカニズム①→③が起こりつつあるという説です。
京都大防災研究所の西村卓也准教授(測地学)によれば、
奥能登の群発地震の原因は珠洲市の地下にある「流体」であるとみています。
今年に入り地面の膨張や隆起が収まってきているにもかかわらず、地震活動が増えていることからこれまで流体が膨らんでかかる力によって地震が起きていたが、現在は断層に水が入ってきて強度を下げたことにより、地震が引き起こされた可能性があるとしています。
地下の液体が関与しているという説が現在有力ですが、能登半島突端には「日本海溝東縁部のひずみ集中帯」であるという指摘もあります。
「この南北に延びる地震の帯には、ほぼ東西方向の圧縮力が働いていることがわかりました」

珠洲市のシンボル見附島の一部がきょうの地震で崩落したようだ pic.twitter.com/ej34ey6Iqn
— manabu (@manabu16) June 19, 2022
能登半島地震の過去
比較的大きな地震に見舞われなかった石川県で観測開始以降初めて、震度6を観測したのが2007年3月25日に発生した能登半島地震です。
M6.9で、震度6強の地震が輪島市周辺を襲い、死者1名、負傷者が356名を出しました。
2007年3月28日まで、震度5弱の地震が続きました。
その後今回に至るまでの能登半島の震度5以上の地震は以下の通りです。
日時 | M | 震度 | 場所 |
---|---|---|---|
2007年3月25日9:00 | 6.9 | 6強 | 輪島市付近 |
2007年3月25日18:00 | 5.3 | 5弱 | 輪島市付近 |
2007年3月26日 | 4.8 | 5弱 | 輪島市付近 |
2007年3月28日 | 4.9 | 5弱 | 輪島市付近 |
2008年1月26日 | 4.8 | 5弱 | 輪島市付近 |
2020年3月13日 | 5.5 | 5強 | 輪島市付近 |
2021年9月16日 | 5.1 | 5弱 | 珠洲市付近 |
2022年6月19日 | 5.2 | 6弱 | 珠洲市付近 |
2022年6月20日 | 5 | 5強 | 珠洲市付近 |
今回奇妙なこととは
・地殻変動はここ3年半の間で隆起が3センチに達するなど、付近に火山などのない地域で短期間に突然、地面が盛り上がる現象は異例。
・能登半島では気象庁の観測活動がある中ではこのような地震活動が観測されていなかった。
・地下の水が群発地震を起こした例は、1965~70年に長野県で発生した「松代地震」があり、多い日で約600回の有感地震を観測し、地滑りが多発。最終的に大量の水が地表に噴き出し沈静化した。
ただ、震源や流体の存在する深さが、松代地震では深さ数キロと浅かったのに対し、今回は10キロより深いため、同様といえるか不明。

まとめ
わかりやすくまとめると
- 石川県中でも能登半島が地震が多い原因として挙げられている説をまとめた
- 2007年以降の能登半島地震を一覧すると、震源が先端に移動しているようにみえる
- 地下にある水などの「流体」が原因とする説が有力だが、世界的にも珍しく今後のどうなるか予測が難しい

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