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人道回廊とは 意味は?わかりやすく過去と問題を解説

2度の失敗に終わったウクライナでの人道回廊設置について、ロシアは、ウクライナのキエフ・ハリコフ・マリウポリなどの都市からつながる6つの回廊設置を提案しました。今回のルートは、ロシアおよびその同盟国ベラルーシにつながっており、ウクライナ側は、道義に反すると、避難先は西部の都市リビウにするよう要求しており、実現は難航しています。

人道回廊とは 意味は?過去の事例と問題がどこにあるかをわかりやすく解説します。

はあ~、毎日報道見てるのが辛すぎる!何とかならんもんやろか?

人道回廊とは読み方と意味は何?

人道回廊とは意味は何かを過去の事例を含めて、まとめてゆきます。
人道回廊の読みかたは「じんどうかいろう」英語では、Humanitarian corridorで、戦争に関係ない民間人の脱出ルート のことを意味します。

一般に、戦争が行われている地域で一般市民が逃げるためのルートをこのように呼びます。

一時停戦の理由・戦争のルール

今回の侵略戦争で、ロシアの目的はウクライナ政府を全面降伏に追い込み、傀儡政権を作るなどして、ロシアの隣国を非武装、中立化することで、NATOの東側への拡大を阻止しようとしていると思われます。

プーチンのもともとの計画は、ウクライナの軍事施設や、空港など軍事拠点を一気に攻めて、制空権を握り、首都キエフを制圧し、短期に目的を果たそうとしたと思われます。
ところが、予想外のウクライナの軍や市民の抵抗で、圧倒的な軍事力を持ちながら、未だ、主要都市の制圧が出来ないでいます。

その間に、戦争の現状―民間人への攻撃、子供を含む多くの死傷者の報道が世界中に拡散され、国際世論は、反ロシア一色となりました。

プーチン政権は、停戦交渉でも、あくまでウクライナの非武装化、中立化の条件を掲げ続けています。
この状況下で、国際世論への懐柔策のひとつとして、人道回廊の設置を提案したのだと思えます。

戦場のさなかにある場所から民間人が脱出する人道回廊が効果的に機能するためには、ミサイルや流れ弾が飛び交う状態はあり得ませんので、一時停戦が必須条件となります。

戦争のルールは19世紀に成立したジュネーブ条約にて初めて定められたもので、武力紛争中にやっていいことダメなことを定め、非戦闘員である民間人を保護し、虐殺や不要な殺害を抑制することを目的としています。

その中の民間人に関する項目に、以下があります。
・民間人・施設をターゲットにしない
非戦闘員たる民間人、学校や家などの建物、水源や電源施設などのインフラを意図的に標的にすることは、戦争犯罪になる。
・民間人が避難するための安全な通路を提供する
紛争当事者は、戦闘地域から極力安全に民間人を避難させるためのあらゆる合理的な措置を講じなければならない。紛争当事者は逃げる民間人の通行を妨げてはならない。

なお、これは長期の「停戦」に直結する動きではなく、一時的に回廊を設けて市民の脱出を認めたあとは、市街地に対するさらに激しい無差別攻撃が加えられたこともあります。

民間人の定義

人道回廊でいう民間人とは、軍人以外の公務員を含めて、戦闘員ではない人々を言います。

たまたま戦場となった場所に住んでいる人たちで、敵側も、攻撃する必要がない対象のはずです。

軍人の定義

軍人とは相手国と戦うために日々訓練し、給料をもらっている職業として戦争に従事している人を指します。
従って、軍人は、戦闘による負傷や死を覚悟すべき職業となります。
戦時において、戦闘能力を有する者である軍人を殺害することは、法的に見て正当化されています。
ただし、戦闘能力を剥奪された軍人を殺害したり暴行を加えることは許されず、ジュネーブ条約でも、捕虜とした場合は基本的人権を保障することになっています。

軍事施設とは

軍の駐屯地、駐屯地飛行場、海軍基地
軍港(海軍陸上施設)
航空基地(海軍飛行場)レーダーサイト
ミサイル基地(防空ミサイル、弾道弾サイロ)
演習場
射爆撃場などが挙げられます。

現在ウクライナで軍事施設があるため、攻撃対象となっていると伝えられている都市は、以下です。
キエフ(ウクライナ首都、陸軍および特殊作戦軍)
ハルキウ(旧称ハリコフ、陸軍および空軍)
ヴィーンヌィツャ(空軍)
オデッサ(クリミア半島失陥後のウクライナ黒海艦隊根拠地、海軍)
ジトーミル(空中機動軍)

過去の人道回廊

これまでの戦争・紛争で、人道回廊が提案されたのは以下です。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争
ナゴルノ・カラバフ戦争 (ラチン回廊)
グロズヌイの戦い(英語版)
サイクロン・ナルギス
南オセチア紛争 (2008年)
2008年北キヴ州紛争
ガザ紛争 (2008年-2009年)
2011年リビア内戦
シリア内戦

シリア内戦下では、人道回廊が頻繁に用いられました。
このうちロシアが関与したのが、ロシア軍とアサド政権軍の攻撃で瓦礫と化したアレッポ市街地での人道回廊です。

2016年シリア・アレッポ

シリアに軍事基地を持ち、アサド政権を支持するロシアが、軍事介入しました。戦闘機やミサイルなどによる市街地攻撃を続け、25万人の市民がいると推定されていた北部の第2の都市アレッポの反体制派掌握地域を包囲しました。

市民に被害をもたらす攻撃が続くことへの国際的な非難の高まりに、ロシアは2016年7月28日、アサド政権とともに「人道回廊」の創設を発表し、「テロリストに包囲された地域」の市民の脱出を許すとしました。

一方で、国連の提案した「人道停戦」も、人道回廊への国連の関与も拒否しました。

この回廊は、反体制派地域の市民が、政権軍側地域に脱出できるというもので、反体制派地域の市民から見れば、「我々に投降するか、テロリストと一緒に死ぬか」という選択を突きつけられたことになったわけです。

2016年7月30日、ロシアは「数十世帯が回廊を通って避難した」と発表しましたが、反体制派側は「避難できる状況にはなく、事実ではない」と反発しました。

ロシア軍はアレッポ市街地への無差別攻撃を続け、440人以上の民間人が犠牲となりました。同年10月には国連安保理で空爆停止を求める国連決議案の採決が行われたものの、ロシアの拒否権発動で葬られてしまいました。

最終的に同年12月、政権軍とロシア軍の攻撃でアレッポの反体制派は撤退。政権側が瓦礫となった市街を再掌握しました。結局ロシア軍の攻撃そのものは、アレッポ市の占領という軍事目的が果たされるまで、止まることはありませんでした

住民の多くは、アレッポからさらに北の反体制派地域に逃れる結果となりました。

ウクライナで回廊は有効か?

回廊は機能していない?

現時点では、人道回廊を設置しても、攻撃が停止されないと双方が避難しており、ほとんど市民の脱出が実現できていません。

また、ロシア軍が包囲したウクライナの都市マリウポリで、民間人を避難させる「人道回廊」とされた道路に地雷が埋設されていたため、人々が避難できなかったとの国際赤十字の指摘もあります。

なぜ問題が生じているか?

2016年シリア・アレッポでのロシアの取った態度からみますと、今回のウクライナでのロシアの人道回廊設置の提案に多く重なり、次のことを意図していると推測されます。
・水道、電気などインフラを破壊したうえで、都市を包囲し、市民が生活できないようにする
・市民が、脱出できるのはロシアが支配する地域を指定する。
・人道回廊への攻撃は停止せず、他地区への脱出が、事実上脱出できないようにする。
・人道回廊について国連や国際赤十字には、関与させない。
・「脱出しなかった者はナチス、テロリスト」として、市民攻撃を正当化し、全面攻撃で都市を制圧する。

最悪のシナリオとは

何度かの人道回廊の交渉で、結局ウクライナ市民が脱出できるのはロシアが支配する地域という条件をロシアが譲らなければ、戦場となりつつあるキエフを初めとする都市に多くの市民が閉じ込められた状況で、包囲するロシア軍の総攻撃が始まることになります。

多くの非戦闘員の市民が犠牲になることが懸念されます。

プーチンの冷徹な陰謀なぞに絶対負けたくないわ!

問題の本質とは?

一見人道的に見える人道回廊の設置も、今のロシアのやり方では、最終的に市民を含む都市を総攻撃で破壊、制圧するための口実になるだけに見えます。

最低限、国連や国際赤十字が関与しなければ機能しないと思われます。
まずは、即時停戦することが大前提となります。

ロシアが先に崩壊するしか希望がないなんて悲しすぎる!

まとめ

わかりやすくまとめると

  • 人道回廊とは戦争が行われている地域で、一般市民が安全に逃げるためのルートを意味します
  • ロシアは、シリア・アレッポでの経験から人道回廊設置を都市制圧の口実に使う可能性が高い
  • 国連、国際赤十字が関与するなどして即時停戦することが悲劇を生まないための大前提となる
これ以上の子供を含む犠牲をストップさせるために、何とかせんと

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