第94回選抜高校野球大会(春のセンバツ甲子園)が3月、開幕します。全国32の代表校の熱闘が期待されますが、さて今回のセンバツ2022から新しいルールがまた一つ導入されます。それは「継続試合」です。
継続試合とは?いわゆる「サスペンデッドゲーム」との違いは?この新ルールについて分かりやすく解説します。(出典:Wikipedia、スポーツメディア)

継続試合とは?わかりやすく解説
日本高野連は2022年春夏の甲子園大会で、天候不良などで試合が中断した場合、翌日以降に中断時点から試合の続きを行う「継続試合」を導入することをこのほど決定しました。3月のセンバツ大会から初適用されます。
継続試合とは、野球ファンでも聞き慣れない言葉。以前から聞く「サスペンデッドゲーム」との違いは何なのか。メリット・デメリットなどを以下に分かりやすくお伝えします。

継続試合とは
今回高野連が導入する継続試合は、以下のようなルールになっています。
・悪天候などで試合が途中で打ち切りになった場合、試合が止まった場面から翌日以降に再開し、勝敗が決まるまで戦う。
・打ち切られたイニングにかかわらず実施する。
・軟式全国選手権大会でも採用。硬式の春秋都道府県大会、地区大会、夏の地方大会で適用するかは主催者の判断に委ねる。
つまり降雨や災害、事故などで試合が続行できなくなった場合、それが1回だろうと9回だろうと、また表でも裏でも、同点でも10点差でも、どんなケースでも等しくその場面から試合を再開し、最後までやるというのが「継続試合」です。

大リーグで活躍する #ダルビッシュ有(@faridyu)投手は高3の夏、雨の降る甲子園で最後の試合を戦いました。
あれから18年。試合終了を告げた球審は、雨の中での試合を減らすと期待される「継続試合」のルール化に携わりました。#高校野球 #バーチャル高校野球— バーチャル高校野球 (@asahi_koshien) February 22, 2022
メリット
継続試合の導入について、高校野球界では「大味な試合がなくなる」「最後までできるのはありがたい」など歓迎の声が多いようです。メリットとしては以下の点が挙げられます。
・コールド、ノーゲームがなくなる。
・成績が公式記録に残る。「幻の本塁打」などがなくなる。
・再試合で最初からやり直すよりも選手の負担が減る。
・審判が中断の判断を早めに下せるようになる。
・雨でぬかるんだグラウンドで試合を続行するケースが減り、良いプレーができ選手の怪我防止にもなる。

デメリット
ただ問題点もなくはありません。例えば以下の点です。
・翌日以降のどこで再開するかなど日程調整が難しい。
・チケットの取り扱いをどうするか。
・観客や応援団を再招集する必要。選手たちの宿泊も延長され費用がかさむ。
・選手の体の負担にはなる。
それでも野球界では「甲子園は一生の思い出。9回まで試合をやり切った方が、敗れた選手も納得できる」と「選手の気持ちファースト」の面から継続試合が歓迎されています。
継続試合、今春の甲子園大会から導入 降雨中断時点から別日に再開 https://t.co/GiHNMNmury
— バーチャル高校野球 (@asahi_koshien) February 18, 2022
サスペンデッドとは?違いは?
ところで継続試合、以前からあるサスペンデッドゲームとも似ていますがどう違うのでしょうか。
サスペンデッドゲームは「一時停止試合」とも呼ばれ、かつて球場に照明がない時代は日没などで適用されることも。現在は悪天候時などにメジャーリーグで実施されており、ルールは以下の通りです。
・5回の試合成立時を過ぎて表のチームが同点か逆転した状態、または裏のチームが同点の状態で中断した場合。
・当該試合が連戦の最終カードの場合には、全日程を終えてその1試合の勝敗によって順位が変動する時以外は行わない。
つまり試合成立が条件になっていて、5回未満ではノーゲームに。「何回でもとにかく全部再開する」継続試合とはこの点が異なります。

2022年継続試合導入となった理由
この継続試合が導入された大きな理由は、昨年夏の甲子園大会でした。従来の甲子園大会では悪天候時は以下のルールが適用されていました。
・7回表裏を終了し、審判が試合の続行が難しいと判断した時、得点差に関係なく試合終了(=降雨コールド)。
・7回表終了時に後攻チームの得点が多い時、7回裏の攻撃中に後攻チームが同点に追いついた時なども、試合成立で降雨コールド。

コールドゲームですから終了時点で得点が多いチームが勝利。逆に6回時点で雨が激しくなり中止になると、試合不成立で「ノーゲーム(無効試合)」となります。その場合翌日再試合(もう一度最初から)が一般的です。
昨年夏の甲子園は台風や大雨の影響で大混乱。開幕日がいきなり1日ずれた上、46年ぶりに3日連続順延、史上最多の7日も雨天中止になりました。このため試合が始まっても続行不能のケースが続出。降雨ノーゲームが2度、コールドが1度も発生しました。
とりわけファンが〝大炎上〟したのが1回戦の大阪桐蔭―東海大菅生と近江―日大東北戦。前者は「東西横綱対決」と注目されましたが、8回表、4対7で3点を追う東海大菅生が1、2塁とチャンスをつくった時に雨がひどくなり、コールド負け。選手たちは悔し涙に暮れました。
また近江・日大東北戦は5回に降雨で中断。何と2時間22分もベンチで待たされた挙げ句結局ノーゲームとなり、両軍選手は疲労困憊していました。
これには「選手が可哀想」「あまりに酷い」と批判が殺到し、継続試合の大きな契機になりました。
高校野球 今春選抜から「継続試合」導入 甲子園から「幻の本塁打」なくなる https://t.co/gPS0c91370
今春の第94回選抜大会から「継続試合」を採用すると発表した。成立前の試合を引き継いで勝敗が決まるまで後日再開。降雨によるノーゲームやコールドゲームなどはなくなる。 pic.twitter.com/LqSKyOqlqG
— のもとけ (@gnomotoke) February 18, 2022
継続試合導入にSNSの反応は?

引用:https://twitter.com/himehide2122/status/1496231112716468224

引用:https://twitter.com/hararyo71/status/1496126682352304133

引用:https://twitter.com/tkaajs/status/1496113256221777926

引用:https://twitter.com/SANSPOCOM/status/1496067379440545794
まとめ
わかりやすくまとめると
- 2022センバツから継続試合初導入。何回だろうとそこから翌日再開
- 昨夏甲子園での雨天ノーゲーム続出が契機。選手ファーストの判断
- サスペンデッドは試合成立が条件だが、継続試合は1回表でもOK